・鳥山明が遺したもの

鳥山明先生の訃報を知ってからしばらくして、自分の至る所に鳥山先生の世界観や仕事が入り込んでいることに気がつく。ドラゴンボールは言うに及ばず、始めてプレイしたRPGはドラゴンクエストだし、クロノトリガーはゲーム会社の枠組みを超えたドリームタッグだった。クロノトリガーの様々な時代の世界観を描き分けられるの、いま考えると本当にすごいよね。 ドラクエのスライムも何をどう考えたら、あの丸っこいフォルムになるのかわからん。でもレベル1の時にスライムに囲まれたら死ぬぐらいには強い。 どこかコミカルでデフォルメされているんだけど、ドット絵という制約で〝モンスターの怖さ〟を表現している。本質を端的かつシンプルに表現する画力とデザイン力、西洋ファンタジーを翻案するセンス。空気と同じぐらい自然に鳥山ワールドがそばにあって、その中で育った。影響を与えられていることに自覚するのが難しいぐらいに、自然に、鳥山明は日本的ファンタジーの地盤になっていて、なろう系ファンタジーや葬送のフリーレンも、ポケットモンスターも、鳥山的なものの影響を受けている。創作という行為に取り組む度に、鳥山的なものに向き合う。 自分はR.I.Pとかご冥福をお祈りしますといった定型句で済ませてしまうのが苦手だ。喪に服する代わりに、今日は自分の内側にある「鳥山明が遺したもの」を見つめることにする。